前回の続きになるが、彼とステディな関係になり、私と彼がずっと一緒に暮らすには結婚しなければならない。
アメリカに住む彼と日本にいる私が一緒に住むには、私が彼の住むハワイに行かなければならなかった。
彼にはその当時8歳の男の子がいたので子育てしなければならない理由があり、アメリカ人ではなくアメリカの就労ビザもない私が滞在できるのはESTAでの年間3カ月のみだったからだ。
だから結婚するには先ず婚約者ビザを取得してアメリカに渡り結婚証明書をとり、そこからグリーンカード(永住権)を受理してやっとずっと一緒に暮らせるわけだ。
しかし、なんと彼はまだ2度目の妻と離婚手続きが済んでいないまま、オーケーキューピッドというデーティングサイトに登録していたのだった。
アメリカではけっこうよくあるのだが、お互い別居したらボーイフレンド/ガールフレンドをデーティングサイトで探す。
彼のプロフィールには結婚相手、長い交際期間を求むことが表示されていたため、既に2度目の妻とも離婚しているのだと思い込んでしまったのだ。
私もいけなかったが、毎日ラインし合い私が仕事が休みの日はビデオチャットをするようになってから、それがわかったのでとてもがっかりしてしまった。
離婚もしてないのに、私と結婚したいと言うなんて...
彼はせっかくここまできたのに私との関係を終わらせたくないと謝った。
私は彼にもう話したくない、しばらく連絡したくないと伝えた。
一週間ほどして彼からラインが来た。
また謝る彼。
私も少し動揺がおさまっていたので、どうして離婚もしないうちからデーティングサイトに登録して、結婚を求むと表示したのか説明してと伝えた。
実は1度目の離婚手続きで雇った弁護士を2度目の離婚でも雇うつもりで私と知り合う前から連絡していたが、何度連絡しても返信がなかったと言う。
アメリカでは離婚となると弁護士が必要になる。
私はとにかく、あなたが離婚できない限りは婚約すらできないからステディな関係をいったん保留にしたいと伝えた。
彼は私が言った言葉にショックを受けて、離婚に向けてベストをつくすので待っていてほしいと言った。
その後なぜ、その弁護士が返信してこなかったのか判明した。
なんとその弁護士は脳梗塞になり、すべての依頼が頓挫されていたのだ。
その弁護士はもう仕事することができなくなったため、他の弁護士を探すことになった。
彼の友人の中に弁護士がいて、結局その人に離婚手続きを助けてもらった。
そこから離婚手続きが完了するまで4カ月くらいかかった。
知り合ってから、あっという間に一年近くが過ぎていった。
彼の離婚手続きが終わってほっとしたものの、次はK-1ビザ(婚約者ビザ)申請のために様々な書類集めをしたり、アメリカ移民局からの通知の指示のとおりオンラインで質問に回答したり、保険適用外のアメリカ移民局が指示した病院での健康診断やいくつかの予防注射、アメリカ大使館での面接などやることも多く、考えていたより費用がかさんでしまった。
おまけに弁護士をつけたほうがいいという彼の提案にしたがったため、弁護士代も上乗せ。
彼の友人弁護士からの知り合いのアメリカ人弁護士が私の婚約者ビザもグリーンカードも引き受けることになった。
彼と私で弁護士代を半分ずつ出し合った。
結局、彼の離婚手続きが終わって婚約者ビザを取得するまでさらに1年かかった。
婚約者ビザを取得してアメリカに着いたら90日以内に結婚して証明書をとらなければならないというルールがある。
婚約者ビザを申請してからアメリカ入国までプロセスだらけだったし婚約者ビザの申請をした時期からコロナ禍に突入。
婚約者ビザの申請をしたとしてもアメリカに入国できないかもしれない。
先がまったく見えない状態だった。
さらにがっくりしたのはコロナ禍の影響で気に入って働いていた会社が人員整理を始めだしたことだ。
先ず最初は私がいたセールス部門ではなく、トランスファー部門自体がなくなった。
続いていくつかの部門でけっこうな人数が解雇。
そしてセールス部門には日本ブランチの副社長じきじきの提案として、自主退社をしてくれる社員は早いもの順でアマ〇〇の仕事を紹介しますという通達。
新卒のほぼバイリンガルのまだまだ無垢な社員の数名は自らアマ〇〇に。
私は今の自分はアメリカに行く可能性があるからいずれこの会社を辞める日が来る。
だから私は先に辞めるべきだと思った。
ここを辞めて短期の仕事を見つけてアメリカに行くまでつなごうと思った。
そして東京を離れ、母のと母の夫が住む静岡に渡り、約1年一緒に住むことになった。
一緒に住みたくなかったが、今考えてみると日本を離れる前に最後に母と暮らして良かったと思った。
一方最後までセールス部門に残ったのは3人のみと後から仲が良かった同僚から聞いた。
その同僚はいつも営業成績がトップ3にはいるくらいだったので最後まで残れたのだ。
自主退社を申し出ず、粘っていたある同僚は結局、中途半端な時期に解雇されてしまったそうだ。
やりがいもあったけれど、なんかこういう不測の事態があると、あっさり解雇するのもアメリカの会社だなあとも正直感じた。